超時空イージス戦隊(1)~(3) 橋本純 2021年10月25日 初版発行 コズミック文庫

書評 / Book Review

もしも、令和時代の自衛隊(主に海上自衛隊)が昭和時代に時空転移してしまったら?

こんにちは!兄のYUです。
最初にこの本は、2005年12月・2006年1月に刊行された「波動大戦」シリーズを再編集し、改訂・改題したものです。お気を付けください。

さて、僕がこの本を選んだ理由は、元々架空戦記を読むきっかけになったのが、超常現象で日本海軍の連合艦隊が飛ばされて、ヨーロッパに出現したら?という架空戦記だったので、時空転移ものに興味があったからです。

2021年、伊豆半島を震源とする震度7の巨大地震が発生した。政府はすぐに自衛隊による緊急災害派遣艦隊を出動させる。そして、昭和18年に飛ばされた自衛隊は否応なく戦争に巻き込まれる。

この作品の面白いところは自衛隊員と一緒に3万人の民間人や政治家の現役防衛大臣も一緒に飛ばされるという点です。
時空転移ものは架空戦記では珍しくないですが、政治家が一緒に過去に飛ばされるというのはめずらしいです。
大抵、自衛隊が飛ばされて、昭和の世界では未来兵器のミサイルや航空機で大暴れするという設定がほとんどで、野心ある政治家が自衛隊と一緒に・・というのはあまり架空戦記ではありません。

ここに僕は非常に興味を持ちました。
そして、軍事オタクたちが大活躍するというのも見逃せません。
自衛隊員だけではなく、3万人の民間人の中から選ばれた軍事オタクたちが自分の知識をフル活用して、圧倒的に不利な状況から何とか日本軍を対米戦に勝利させようと四苦八苦する姿は、シリアスな場面あり、コミカルな場面もありで読んでいて飽きません。

この作品の昭和世界は史実の昭和世界と似て非なるものとして描かれているので、昭和18年当時計画されていてまだ戦場に登場していない兵器が登場したり、すでに戦死しているはずの日本軍の指揮官たちがまだ生きていたりと架空戦記の醍醐味である「もしも」が満載です。

少し気になったのは物語のラスト。
個人的には唐突に終わってしまったという感覚が強かったです。
これまで橋本さんの作品にはあまり触れていなかったので、架空戦記作家さんで自分があまり知らない作家さんでも面白いものを書く人もいるんだな、と架空戦記の奥深さを改めて感じました。
架空戦記で時空転移ものが好きな方にはおすすめの作品です。

次回は、遥士伸さんの戦艦「大和」撃沈指令 超艦上戦闘機「烈風」(1)を紹介する予定です。
お楽しみに!

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